クレーム(特許請求の範囲)作成のコツ【思考の仕方】

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クレーム(特許請求の範囲)作成のコツ【思考の仕方】

クレームは、発明の本質を端的に表し、なるべく無駄な構成要素を記載しないことが、広い権利範囲を取得する観点から望ましいです。発明の本質を端的に表す際の思考の仕方について今回は記載します。

思考の順序

  1. 土台となるスーパークレームを作成
  2. スーパークレームを構成的に記載

土台となるスーパークレームの作成

スーパークレームは、願望(発明の課題)をそのまま記載したクレームであり、クレームを検討する際の土台とするためのものです。すなわち、スーパークレームは、最終的な請求項に記載するものではなく、思考の一助とするためのものです。

今回、例として、従来は断面円形の鉛筆しかなく、新たに六角鉛筆の発明した例について検討します。

スーパークレームを作成するにあたっては、その発明の課題をまず認定します。
六角鉛筆の例の場合、従来は鉛筆が断面円形であり、転がりやすい、という課題を認定し、スーパークレームは以下のように作成します。

【スーパークレーム】
 転がりを抑制することができる鉛筆。

スーパークレームを構成的に記載

スーパークレームの状態においては、発明の構成が想像できず、明確性違反の拒絶がきたり、発明の内容が実施例の詳細構成に限定されたりするおそれがあります。
そのため、スーパークレームを可能な限り上位概念の構成で書き換えることを検討します。

具体的には、【スーパークレーム】の内容を考慮し、鉛筆に対して転がりを抑制するためには最低限どのような構成が必要かを検討します。
今回の六角鉛筆の例では、鉛筆の断面形状を円形から他の形状に変更している構成にすぐに着目することができ、鉛筆の断面を非円形にすれば発明の効果が得られることが考えつきます。
また、鉛筆は、その全長に渡って非円形でなくともよく、鉛筆の長手方向の少なくとも一部が断面非円形になっていれば効果が得られます。
以上を考慮し、例えば以下のようにスーパークレームを構成的に表すことができます。

【請求項1】
 長手方向の少なくとも一部の断面形状が、非円形となる鉛筆

まとめ

以上のような思考順序で検討すると、贅肉のない発明の本質を端的に表したクレームが作成可能です。

なお、今回のスーパークレームを検討すると、例えば鉛筆の重心を中心からずらす構成や、鉛筆の表面に滑り止めなどを設けることも考えられます。これらの構成については、六角鉛筆にした発明とはやや思考が異なりますので、別出願とし、1つの製品(鉛筆)について多面的に権利を狙うことが好ましいと考えます。

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